キミだから・・・


「おぉ!大地じゃん!今日も遅刻ギリギリだったなっ」



みんなに人気者の大地は教室に入って
さっそくみんなと話している。



自分の席に着くと、



「日愛大丈夫?また走ってきたの?
顔が死んでるけど......」



この子は、土館 有紗 (つちだて ありさ)
同じ調理部で私の親友。なんでも言いたいことははっきりいうタイプだ。
有紗にはサッカー部にかっこいい彼氏もいる。
有紗も美人さんだから美男美女でとってもお似合い。



「大地に引きづられてきたようなもんだよ......大地、走るの早すぎだから...」



「日愛にとっては走るの辛いだろうけどさ?西森くんのおかげなんだからさっ」



「まぁね......」



「ねぇねぇ。幼なじみからの恋愛に発展とかないわけ?」



「大地だよ?ないないっ
私のことはいいからさ?有紗こそ彼氏とどうなの?」



「もっちろんっラブラブです!」



そんな笑顔でピースまで......



恋ってここまですごいんだなぁ。






「あーあ。早く日愛と恋バナしたいなー」



有紗がつまらなそうに自分の席に戻る。



そりゃあ、好きな人がいればいいなとは思うけどさ......そんな人がいないよ...
ほんっと、あんな人をバカにする大地とかはありえないからっ



有紗はいいなぁ......
あんなに優しくてかっこいい彼氏が私にもいたらなぁ......



そんなことを思っていると、1時間目が始まり、先生が教室に入ってきた。



「ここがこうなってこうなるから
yは.........」



授業の話なんて全然頭に入ってこない。



適当にノートをとって、あとは上の空。これが、ほとんど。



ぼーっとしていると授業終了のチャイムが鳴った。



「今日の授業はここまで。分からなかったやつはちゃんと復習してこいよ?来年は受験生なんだからな?
今のについてこれないようじゃ話にならんからな?以上!」



先生が出ていったとともに騒がしくなりはじめる教室。



机に顔を伏せていると、



「日愛ー?お前さ、授業全然聞いてなかっただろ」



「だってー数学とか嫌いなんだもん...」



「まぁそれはそうだけどよ?
来年は俺たちも受験生だぞ?お前大丈夫かよ」



そんなことを笑いながらいう大地。



「大地だけは絶対にいわれたくないっ!絶対学年1バカだって」



私がそんなことを言うと、大地は急に腕を組みなにかを考え出した。



「なにしてんの?
大地がそんな真剣に考えるなんてめずらしい」



そんな大地に私は感心していた。



なのに......

「俺ってさ......顔もかっこいいしさ、
運動もできて、あとは勉強だけなんだよなーー」



「え?......考えてたのって...それ?」



「当たり前だろっ
まぁっ受験なんてまだまだ先だしな?」



そういってクシャっと笑うと大地は
自分の席に戻っていった。



「日愛ー♪次、体育だよっ
早くいかないと先生に怒られるから
行こっ??」



有紗が更衣室に行くため、私の腕をひっぱり立たせてくれた。








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