バレンタイン*少しの勇気をください。
はぁー。と、重い溜息をユキちゃんが吐き出す。
「ねぇ、百合。
いきなり仲良くなった人に逃げられる気持ちがわかる?」
「…逃げられる気持ち…」
「そう。逃げられる気持ち。
ただ話しかけようとしたら、相手は自分に背を向けて自分から逃げてくの。
理由もわからず」
「…あっ」
「それはとってもとってもツライことよ。
いきなり訳も分からず逃げられるんだから」
東雲くんをいっぱいいっぱい傷つけてしまった。