オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
プロローグ
俺は学校の屋上でぼんやり
夕焼けを眺めていた。

屋上から見る景色はいつも綺麗で
俺はよくここに来る。

本当は立ち入り禁止の札が
掛かっていて普段は入れないのだが
数日前、誰が壊したのか
入れるようになっていた。

その時。

『〜♪』

高校二年になって
やっと買ってもらった
スマホが鳴る。

画面には、『華恋』の文字。

ため息をついて、
電話を耳に当てると、
耳をつんざくような大声で

『もう!お兄ちゃん!?
いつまでどこで何してるのよ!
早く帰ってきて!
今日は…二人の大切な日なんだから…』

電話の向こうの声は次第に
ぐすぐすと
涙混じりになる。

「わーっとるて。
すぐ帰るさかい泣くなや。」

『ほんと?
待ってるからね。』

そう言うと電話は一方的に切れた。

俺はまたため息をついて
スマホを通学カバンに仕舞い込んで
屋上から出た。

(誕生日、か…。)

高校生にもなって、
一緒に祝おうとか言われても
実はあまり嬉しくはない。

(タイムリミットが…また近づく。
ただそれだけのことだ。)

そう思っていた。
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