オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
駅前のカラオケ店。

俺は杏珠に引っ張られるような形で
連れてこられていた。

杏珠と、華恋、
それに見知らぬ男子がふたりと、
彩花6人で部屋に入ると
もうぎゅうぎゅうだった。

見知らぬ男子は隣のクラスの
杏珠の幼なじみ。

竹下 大和と、大沢和臣。

大和は、メガネをかけていて、
身長は175cmくらいだろうか。
シルバーのアクセサリーを
首から下げている。

和臣の方は、
茶髪で、身長はあまり高くないが、
いわゆる男子にも女子にも
人気、という
笑顔が可愛い感じだ。

「さぁー、みんな沢山歌って。」と、
杏珠がマイクを配り、
デンモクを大和に渡した。

「ほーい」

「千洋くんも、はい。」

「せやから、俺は歌わへんって……」

「いいから、いいから。
せっかくタダで歌えるんだよ?」

「え?」

「あ、ここ
うちの両親がやっとるんよ。」
と、彩花。

「……そゆことか。」

「だから、週一で
俺ら付き合わされんの。」と、和臣。

「付き合わされるとか言わんでよ。
お客さん増やさんと、ね。」

杏珠は、少しだけ寂しそうに言った。

俺はその表情に、
何かあるんだなと察した。
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