オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
夕方、陽花音をピアノ教室へ迎えに行った後、
2人で歩いて帰る。

空はまた綺麗なオレンジ色をしていた。

「ゆーうーやーけー
こーやーけーのあーかーとーんーぼー」

手をつないで、陽花音が
幼稚園で習ったらしい
童謡を歌っている。

「……なぁ、陽花音。
パパとママが一番好きなものはなーんだ?」

「えー、えっとねー、
んーと……わかんない!」

「……ヒント、今のお空の色やで。」

「……あっ、わかった!オレンジ!」

「ぴーんぽーん!せーかい。」

「やったぁ!」

嬉しそうにジャンプする陽花音を見ながら、
俺は

(……まぁ、正解は夕焼け空、やけどな。)

なんてことを思っていたのだけど。

幼稚園児にそこまで
求めるほど鬼ではないからな。
< 172 / 176 >

この作品をシェア

pagetop