オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
心の支え
しばらくして、
梶山が来た。

「…もう、何?
あんな電話じゃわかんないよ。
慌ててきたから
何も持ってきてないし。」

文句を言いつつ、
梶山は椅子に腰掛けた。

「…どうしたの?
すごく暗い顔してる。」

「…人ってさぁ、
なんなんやろな?
ものっそしぶとい時もあるし、
けど、めっちゃ脆い。
俺、こんな体やし
死ぬのとか別に
平気やって思ってたけど
実際、目にすると…怖いなぁ。」

「…片岡くん。」

「…瑞穂が、死んだ。
今朝、容態が変わって
そのまま…。」

「え…?嘘?」

「俺も信じたないわ。
けど、もうおらんねん。
どこにも…。
あない昨日元気やったのに…。
…なぁ、俺死にたない。
ずっと、生きて…大人なりたい…!」

気がつけば、泣いていた。

梶山は、そんな
俺を何も言わず抱きしめてくれた。

梶山の目にも涙が光っていた。
< 45 / 176 >

この作品をシェア

pagetop