オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
数日後。

病室に、一人の
女性がやってきた。

「…こんにちは、
千洋くんですか?
瑞穂の母です。」

「…こんにちは。
あの、この度は…」

「ああ、いいのよ。
わたしもだいぶ泣いたし。
それにね、
あの子は泣くの嫌うから
いつまでも泣いてたら
あの子に
怒られるような気がして。」

「…そうですか。」

「そうそう、これね。
荷物を整理したら出てきたの。
あの子が千洋くんに
渡すつもりだったみたい。
受け取ってあげて。」

そう言って差し出したのは
かわいいハート柄の
封筒に入った手紙だった。

表に、
「ちひろくんへ」と書いてある。

「…ありがとうございます。」

「じゃあ、私は行くわね。」

瑞穂の母さんは、そう言って
病室を出て行った。
< 48 / 176 >

この作品をシェア

pagetop