オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
近くの小さな公園まで歩いて、
ベンチに腰掛ける。

手は繋いだままだ。

「華恋、なんで泣いてるの?」

「……今日、パパが帰ってきた。
前にね、赴任が
もうすぐ終わるから
そしたら家族4人で
ここで暮らそうって言ったの。」

「……うん。」

「……でも、また転勤しなくちゃ
いけないって。今度は九州だって。
そんなの嫌だって、
飛び出してきちゃった。
……わたし、
航と離れるのは絶対嫌なの。」

「……そっか。
悲しいね。
……でも、決まっちゃったのは
覆せないよね?
お父さんだって辛かったと思うよ。
華恋、今は電話だって
メールだって簡単に出来る。
顔が見たければ、会いに行けばいい。
遠いけど、お金貯めて会いに行くから。
これでサヨナラなんてことは
絶対ない。ね?そう思ったら
なんだか、平気になってこない?」

不思議だ。

大好きな人と話をしていると、
心があったかくなる。

安心できる。

悩んでたことだって、吹っ飛んじゃう。

「……うん。
航、大好き。絶対会いに来てね。
約束よ。」

「うん。会いに行く。約束。」

私たちは指きりをした。
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