オレンジ。~星空の下で。anotherstory~
ロビー。

葵はもう既にお風呂に入ったらしく、
旅館の浴衣を着ていた。

「……ごめんね、無理言って。
でも、やっぱり、
顔見て話したい
って思っちゃったから。」

「……ええよ。」

椅子に並んで腰掛ける。

「……なんか、
話したいことがあったはずなのに
顔みたら飛んじゃった。
えっとね……」

「大丈夫や、ゆっくりでええよ。」

「……ありがとう、千洋。」

でも、その時は
結局何も話さず、
寄り添って葵の肩を抱いていた。
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