プロポーズの夜
「特別な日でもなんでもないし、今まで5年も付き合ってきて結婚の話なんか
一度もなかったじゃない。それが何で今日なのよ。なんで今プロポーズなの?」
「それで・・・あの時無言だったの?」
私はただ頷いた。
真一郎はえっ!?とあからさまに言いたくなさそうな顔をした。
「いえない理由でもあるの?」
真一郎は首をブンブン横に振って否定するが、理由を聞けば言いたくなさそうな
顔をする。でもそんな顔されたら益々理由を知りたくなる。
「真ちゃん、理由を言わないのならもういいよ。結婚するかもしれない相手が
隠し事してるとか私、耐えられないもんね。」
私はベッドから降りるとテーブルの上のジュエリーケースを差し出した。
「とりあえず無期限の返事保留。だからこれ持って帰って」
「お・・おい・・麻紀・・・・わ・・・わかったよ。言うよ言うからさ
その無期限の返事保留っていうのだけは勘弁してくれよ」
項垂れながら真一郎は
ジュエリーケースをテーブルに置けと指さし、私は渋々従った。
そしてテーブルの上の水を欲しいと言うのでそれを渡すと真一郎は勢いよく飲んだ。

そして大きく息を吐くを観念したように話し始めた。
「先週の木曜日の昼過ぎに街で麻紀を見たんだよ」
「え?」
「多分、取引先との打ち合わせだったんだろうと思うけど」
確かその日は打ち合わせがあった。でもそれがどうしたと言うのだろう
首をかしげると
「一緒にいた取引先の男・・・・あいつを見る目がさ単なる取引先の相手ではなく
麻紀を女として見てたんだよ」
「はあ?真ちゃん何言ってんのん?そんなわけー」
「あるんだよ。男の俺だからわかるだよ!」
強い口調で不貞腐れた顔で私を見た。
「真ちゃん・・・・」
「俺、麻紀と5年間付き合って麻紀の仕事の顔初めて見たんだよ。遠目だったけど
目がキラキラしててね。仕事が好きなんだってわかったよ。
もちろん俺といる時の麻紀は素敵だし大好きだよ。だけど、もし仕事上の
付き合いのある男たちが麻紀を狙ってたらと思ったら急に不焦った・・・
他の男取られたくない
本気で自分のものにしたいって思った。恋人とかじゃなく俺の奥さんにしたいって。
それで・・・気がついたら俺はその足でジュエリーショップに向っていたってわけ」

「ええ?」
プロポーズの理由が嫉妬からくるものだったなんて・・・・こんなの
きかなきゃ絶対わからなかったし、きかなきゃただなーなにしていたかもしれない。
「幻滅したか?」
幻滅どころじゃなかった。
「今頃気づかないでよ~5年間は・・・遅すぎよ」
「全くだよ。情けないし、俺、麻紀は即OKしてくれると疑ってもいなかった。
まさか返事に言葉を詰まらせたのには正直ショックだった」
気が付けば私は真一郎に抱きついていた。
「お・・おい麻紀?どうした?」
背中をゆっくり撫でられ私は真一郎の肩に顔を埋めた。
「ねえ・・・」
「ん?なに?」
「もう一回言ってよ」
「なにを?」
「・・・プロポーズ。きっとさっきと違う答えが聞けるかもよ」
「・・・・・」
真一郎は私の体を起こすと目を細め微笑んだ。

「麻紀・・・俺と結婚してくれ」
数時間前に同じ言葉を言われたのになんでこんなにも受け止め方がちうんだろう。
胸の奥がギュッと締め付けられるんだけどそれが全く嫌なものじゃなく
逆に嬉しさがこみ上げてくるし、さっきまでの迷いも嘘のように消えていた。
だから答えた決まった。

「うん!結婚する!」

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