彼のぬくもり
蛍side




お風呂に入り、取り敢えず長い髪を洗い、丁寧にトリートメントを塗る。

それを洗い流してから大きなバスタブに体を入れる。



自分の腹部を見てみれば痣。



はぁ‥‥。


溜息が出る。
そして目を瞑れば母の“無”の目が思い浮かぶ。


嫌だ。


思い出したくない‥‥。

無心になりたくて心を落着ければ、何故か優の顔が浮かんだ。
優しく笑い。
話を聞くと言った時の真っ直ぐな目。
鼻筋の通った綺麗な鼻に、薄い唇。

そして大きな手。

何もかもが落ち着いた。








“抱きしめて貰ったらどんな感じだろう”










そんな考えが頭をよぎる。





‥‥‥‥‥‥ハッ

な‥‥何を考えてんだ私は。
馬鹿みたい。




顔が赤くなって行くのがわかる。

変態かよ。
あー、あれだわ、殴られておかしくなってんだな。


そんな事を思いながらバスタブから出て体をあ洗い出す。





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