彼のぬくもり
緊張で手が震えるなか私は玄関を開けた。
ドタドタドタドタッ
「蛍っっ」
「おかぁさ
バシッ
いっ…」
「何で帰ってきたの?」
「え‥‥」
「あんたの顔って本当に見てるだけでイラつくわ。父親にそっくり。もう帰ってこくて良いわ。男二人も連れて。父親と同じね。尻軽女。あんたも居なくなって一人でゆったり暮らしてたのに。邪魔なのよ。私の人生にあんたなんて要らない。消えな。」
「っ‥‥‥‥。」
“気持ち悪い” “邪魔” “消えな”
その言葉がぐるぐると頭の中もを回転する。
ああやっぱり。要らないのか。そっか。
お母さんはもう私を愛してくれないんだね‥‥。
私がどれだけお母さんを愛して居ても、お母さんに助けてって言っても、優しい言葉が帰ってくる事は無いんだ‥‥。
もうお母さんの笑顔も、困った顔も見れない。側にも置いてもらえない‥‥。
もう‥‥いいや‥‥‥‥。
その時、優と迅が拳を震わせて怒りを我慢していたことも、お母さんがどれだけ苦しんでいたかも今の私には分からなかった。