彼のぬくもり
優side



正直、蛍の母親をぶん殴りそうだった。



「何で帰ってきたの?」


そう言われた瞬間蛍の瞳の光が失われた。


その後も暴言を吐く母親に蛍は何も言わずただ母親を真顔で見てて、もうその瞳に光が映ることもなく、ただただ“無”それだけだった。


もう見ていられなくて、俺は口を開く。


「それなら俺達が、蛍と共に暮らすことは構いませんよね?」

「えぇ、構わないわ。勝手にして頂戴。」

「分かりました。

じゃあ失礼します。」


そう言って出ようとしても蛍が全く動かない。
不思議に思って顔を除けば ゾッとした。


血の気の引いた青白い顔をして、いつもならキラキラと輝いた瞳をしてるのに、今は濁りしか見えない‥‥


“蛍が、闇に堕ちる”


そう思った。


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