S.U.K.I
「煌ちゃん、優くんのことも考えなよ、無神経すぎるぢゃない!」
どこかから湧いて出たボウフラのように、さっきはいたことすら気付かなかった優大好き人間という噂で、男好きの高村亜利がいた。
隣のクラスだったこともあって、はっきり言って喋ったことはあまりない。
きっと、優だってないんだろう。
でも、そんな子が真っ赤な目をさせて必死に訴えかけてくる。
「ぢゃあ、貴方はこのまま優が死んでいくのを見守るだけでいーの?」
私は、今できることを必死にやろうとするだけで躊躇してる場合ぢゃないことを、知らしめるかのように冷たい口調で言い放つ。
亜利は唇を噛み締めて鋭い目付きで睨んでいたが、突然諦めたかのように視線を反らすと、見舞いにきた人たちの中に消えていった。