S.U.K.I


「優くん!」


「梅沢くん!」


「起きろ、優っ!」



いつしか病室全体が声を枯らして優の名を口々に呼んだ。


泣き疲れて横になっていた淘も起きだして、擦れた声で優を呼ぶ。


ふと視界に入った時計は、7時10分前を差して私たちを見守る。


もう半日がたとうとしていた…



私は、握り締めた掌に力を入れ直して、必死の思いを優に言葉としてぶつけた。



「起きてっ、優―――!」



奇跡かと、思った。


微かに動いた親指。


ゆっくりと最初は小さく、徐々に大きく開かれてゆく瞼。


少しきょろきょろと周りを見て、私に微笑みかける。


幻かもしれない………


私の掌の中で確かに、貴男が握り返してるのが分かるよ。


その微かな力さえ、愛しいと思えた……



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