S.U.K.I
「はい、通して下さいー。」
後ろからでかい優担当の医者が、人を掻き分けて私の隣に立った。
私が見上げると、冷ややかな視線を当てられ、背筋に冷や汗が流れる。
何だか怖くて、避けるように後ろに下がった。
淘も、何かを言いたそうな顔で、ちらりと私を見て、すぐにその医者の背中に視線をずらした。
医者は、淡々と作業をこなしていき、腕時計を確認して冷ややかに言い放つ。
「6時53分…ご臨終です。」
医者は、いやらしい手つきで眼鏡を直して看護婦さんに指示を出すと、そそくさと病室を出て行こうとした。
私は、なんだか頭の中が真っ白になっていつのまにか、その医者の腕を捕まえていた。
「なんだい…?」
不愉快そうに片眉毛を上げる仕草をして私を見下ろした。