S.U.K.I


「ごめん、さっちゃん……あたしなんて声かけたらいいか分かんなくて。」


「いいよ、別に。明日は、きてよね、寂しくても、明日が最後なんだからさ。」


「大丈夫、ちゃんと4人共、引っ張っていくから。」



幸さんは、疲れ果てて窪んだ瞳でお母さんをしっかりとらえて微笑んでいた。


影で分からないけど、お母さんも微笑み返した気がした。


シンとした、心兄の車に乗り込むと、ぼそぼそと穹が呟いた。



「………母さん、俺、明日出ないからね。」


「……何、ゆってんの?明日出なきゃいつ行くのよ?」



驚きを隠せなそうに、お母さんが助手席から身を乗り出す。


心兄は、母さん危ないよ、と宥めながら仲裁に入った。


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