S.U.K.I
開け放たれた扉に背を向けるように淘は、勉強机に座っている。
突っ伏しているのを見ると何かしていて眠ってしまったんだろう。
私は、ほっ…と胸を撫で下ろしながら部屋を入ってすぐにあるローテーブルに目を向けた。
引き寄せられるように見つめると癖のある丸字で『煌へ』と書いてある。
丁寧に封筒に入った手紙を開けると、3〜4枚ほどの手紙にびっしりと字が書いてある。
開いた後、私は、言葉が出なかった。
『煌へ。
これを読んでるとき、きっと淘はもういないね。二人で一人なのに…ごめん。』
私は、振り返って机に突っ伏した淘に駆け寄る。
「煌……朝から騒がないで頂戴。ただでさえ今日は………煌?」
私は、立ち尽くして何も言えないまま、お母さんに背を向けていた。
私の足には…………淘の手首から流れ出た血がついていて、淘に触れた掌は…………氷を触ったように冷たかった。
不思議と、涙は出なかった。
その代わり、心臓を削り取られたように胸が痛かった。