S.U.K.I
どん底


バタバタと……祭りのような騒ぎようだ。


ただ、祭りのような楽しい行事ではないことは明らかで。


私は、放心状態なままのろのろと淘に着せてあげる洋服を選んでいた。


お母さんや穹、心兄も取り乱していて、どうしようもない。


爺ちゃんと婆ちゃんは、やり慣れたように葬式の準備を始めている。


私は、気を紛らわすために働かない頭で手伝いをしていたけど、結局使い物にならなくて、部屋にいなさい、と言われてしまった。


部屋を見渡せば、まだカーペットに残る血の跡が生々しい。


淘が一番気に入ってた服をタンスの奥から引っ張りだして、畳み直した。


まだ……涙らしいものは、出てこない。



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