S.U.K.I
「煌ちゃん……?」
後ろから突然聞こえた声にゆっくりと振り向くと、優しい顔をした婆ちゃんが立っていた。
「服は、選んだかい?」
「…うん、これ……」
綺麗に畳んだ服をそっと手渡すと婆ちゃんは、少し悲しみの色を混ぜた笑顔を作った。
婆ちゃんは、ぎゅっと抱き込むように服を抱えると、少し顔を綻ばせた。
「煌ちゃん、ほら……淘ちゃんの匂いがする。」
差し出された服にそっと顔を近付けると、淘が気に入ってよく付けていた香水の匂いが薄くついていた。
正座してただでさえ小さい婆ちゃんがさらに小さく背を丸めて擦れ声で呟いた。
「なんで淘ちゃんみたいないい子……死なないけんかなぁ…神様は不公平だでなぁ………」
小さく嗚咽を洩らす婆ちゃんを、ただ見つめていた。