S.U.K.I
コンコン、と扉を叩く音がした。
私は、はっとして、扉のほうに目を向けた。
もう何時間か前に淘の部屋を離れたハズなのに、まだ息を吸うとかすかにあの、香水の匂いがする。
ノックしてから少し時間が経つのになかなかその相手は、部屋に入ってこない。
ベッドの上で体育座りしていたのをゆっくり崩して床に足をついた。
同じ態勢を取り続けていたせいか床についた足が不思議な感覚だ。
カーテンの隙間から除く空は、すでに真っ暗だった。
「煌ちゃん………?」
ドアノブに手をかけるかかけないかの内にゆっくりと開いた扉の反対側には、頭や腕などに絆創膏をたくさん張りつけた大河とその後ろにべったりとくっつく千歳が立っていた。
私は、徐々に腰を下ろして膝立ちになり、遠慮がちに視線をくれる大河と目を合わせた。