S.U.K.I
「どーしたの……?」
私が精一杯の作り笑顔で問いかけると、大河は、勢い良くドアノブを離して私の胸に飛び込んでくる。
千歳も大河を追いかけるように、飛び込んだ。
ドアノブから手を離す動作を見ていて、どうやら手が届かなくて頑張っていたんだな、という状況が読み取れた。
「ごめんな、煌。お前が一番……辛いだろうに。」
開け放たれた扉のところにくたびれた顔をした心兄が立っている。
人差し指で掻いていた鼻が赤いのを見て、さっきまで泣いていたのかと私は、一瞬で直感した。
私は、小さく首を振る。
それを見た心兄は、少し優しい顔をしていた。
「悪いんだけど今、豊がまいってるから、たーとちー、見ててもらっていいか?」