S.U.K.I


バタバタと廊下を走る音がして、こちらに大河と千歳がやってくるのを感じて急いで上着を羽織った。



「「きーらちゃん!!」」



飛び込んできた大河と千歳ににこりとぎこちない笑顔を向けた。


私がゆっくりと立ち上がると両腕に飛び付き、ぶら下がるかのようにくっついてくる。



「お外―――!!!」


「早く、早くっ!!」



急かされるように足を押されて、階段を下り玄関に出る。


嬉しそうに騒ぐ大河と千歳におもちゃのような長靴を履かせてあげていると、ふらふらと台所から出てくるお母さんを見た。


婆ちゃんに支えられながら居間に入っていく。


声をかけようとして、やめた。


というか、かけられなかった。



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