S.U.K.I
「何やってんだよ、お前は!」
突然がくりと体勢を崩されて何事かと思った。
肩をがっしりと掴んだ心兄の強い眼差しに私の瞳は、圧倒されていた。
「こんな冬の雨の日にましてや女の子が何してんだよ!!」
がくがくと肩を揺すられながら、私は、ただただ心兄の真剣な目を見ていた。
心兄は、私の返事を待っているのか肩を掴んだまま動かずに真っすぐ目を見てくる。
「………………ごめん、心兄。」
私は、言葉に詰まってただそれだけを言って、顔を斜め下に背けた。
なんだか、心兄の目を、見れなかった。
心兄は、優しく私を抱き寄せて、消えてなくなりそうな声でつぶやいた。