S.U.K.I
「淘に会ってあげな。まだ、言ってないこととか、あるだろ?」
こくん、と頷いて部屋に向き直ったものの、なかなか入らないでいると、心兄に背中をとん、と押された。
よろけながら歩いていくと、ちょうど淘の枕元辺りに立っていた。
ゆっくり正座しながら、心兄が襖を閉めた音を背中で聞いた。
不意にうずくまっていたお母さんが顔を上げた。
それは、横目で見て知ってたんだけどあえて、そっちは見なかった。
ううん、見れなかった。
横たわった淘は、まだ潤いのある透き通った肌で長い睫毛とか通った鼻筋とか薄いけど可愛い唇とかすべて昨日…いや、つい今日の深夜、寝る前まで見ていたときのままだった。
今にも、明るすぎて寝れないって文句言いながら目を擦って起きだしそうだった。
呼びかけたら、
「淘…………?」
起きそうだったんだ。