S.U.K.I


「…ね、冗談やめなよ。狸寝入りなんでしょ?」


「…………煌?」



お母さんの擦れた声が啜り泣くのと交じって聞こえた。


でも、答えなかった。


ううん、答えたくなかった。


そんなことしても無駄なのよって言われたら、私は、何かがぶちぎれそうだった。



「………みんな心配してるから。起きてよ、煌だって寂しいしさ。」


「…………煌。」



今度は、心兄の声。


嫌だ、誰も邪魔しないでよ。


私が淘と喋ってんのに。


腹の底から何かが上がってくる気がした。



< 154 / 316 >

この作品をシェア

pagetop