S.U.K.I
最後の手紙
「嫌だ……嫌だ……起きてよ!」
「やめなさい…!!」
バシッと痛い音がした。
というか、私が叩かれたのだ。
でも、痛いとは思わなくてただ、《何かが当たった》って感触だけが残っていた。
お母さんは、ただでさえこんなに自分が不安定なときに子供を殴ったということが、さらに不安定さを増しているようだ。
顔は、見えなかったけど、倒れこんだまま肌で雰囲気を感じていた。
しばらく動けなくて、ぐったりと寝そべったままでいた。
淘の肌が冷たいのを改めて知って心臓が苦しかった。
私がむくりと体を動かしたときには、みんなの姿がなかった。
シン…と静まった部屋の中で私は淘と二人っきりだった。