S.U.K.I



「あれれ?お姉ちゃんは、お手製ケーキ作んないんですか?」



秀は、ニヤニヤ笑いながら私の顔を覗き込む。



「秀になんか作ってやーんない!あ、淘!満腹屋行くよ。約束だかんね?玄関で待〜つ!」



私は、逃げるように鞄を持ち、さっと立って教室の扉を目指し歩く。



「しかも、煌、妹だし!」


「嘘吐くな、大食い!」



秀の話を背中で聞いて、真っすぐ玄関に向かう。


なんたって、満腹屋の絶品コロッケは、並んで食べてもおつりが来そうなくらい名前通りの『絶品』なんだから。


それに私が目が無くなるくらい好きなことも、長年のパートナー淘は、知っていた。


知っていたはずなのに。



< 17 / 316 >

この作品をシェア

pagetop