S.U.K.I
「あれれ?お姉ちゃんは、お手製ケーキ作んないんですか?」
秀は、ニヤニヤ笑いながら私の顔を覗き込む。
「秀になんか作ってやーんない!あ、淘!満腹屋行くよ。約束だかんね?玄関で待〜つ!」
私は、逃げるように鞄を持ち、さっと立って教室の扉を目指し歩く。
「しかも、煌、妹だし!」
「嘘吐くな、大食い!」
秀の話を背中で聞いて、真っすぐ玄関に向かう。
なんたって、満腹屋の絶品コロッケは、並んで食べてもおつりが来そうなくらい名前通りの『絶品』なんだから。
それに私が目が無くなるくらい好きなことも、長年のパートナー淘は、知っていた。
知っていたはずなのに。