S.U.K.I


ぼーっとしていると、心兄に呼ばれてついていくと、もうじき出棺だから最後の最後に見てやれって。


心兄は、そればっかりだ。


私だって、最後なことくらい十分分かってる。


だけど、顔見ると辛いからだからあんまり、行きたくなかったんだ。


優は、さっきみんなに見送られて逝った。


もうなんだか、全てのことが遠い世界でやってるみたいで現実味がなかった。


淘と優の式の時間は、少しずつ違ってたから、心兄は、行ってくれば?って言ってくれた。


でも、結局同じ火葬場に行くわけで、淘が後だから、少し早く行けば間に合うからって言って誤魔化していた。



『煌ちゃんは、きっと思い残すことがなかったのね。』



突然、そう声がして私は、びっくりして柱の影に隠れた。


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