S.U.K.I
あれほど俊敏に動けるなんて…と自分に自分が驚いたくらいだ。
廊下の端で婆ちゃんと婆ちゃんの上のお姉ちゃんが喋っていた。
『どーいう意味だ?姉ちゃんは、煌も死ぬって言うんか?』
『違うて。おらが言ってるのは、淘ちゃんのこどだ。淘ちゃんに心残りさなけりゃ、煌ちゃんも涙見せずに遅れるだに。』
そのあとの声は、はっきりと聞こえなかった。
ただでさえ消えてもおかしくないくらい、廊下の端でひそひそと喋っていたから、しょうがないと思った。
けど、続きが気になっていた。
私は、まだ知識がないからかもしれないけど、婆ちゃんのお姉ちゃんが言っている意味が半分も分からない。
すぐ近くに行って、意味を聞ければ簡単なのに、その元気が私には、なかった。