S.U.K.I


あれほど俊敏に動けるなんて…と自分に自分が驚いたくらいだ。


廊下の端で婆ちゃんと婆ちゃんの上のお姉ちゃんが喋っていた。



『どーいう意味だ?姉ちゃんは、煌も死ぬって言うんか?』


『違うて。おらが言ってるのは、淘ちゃんのこどだ。淘ちゃんに心残りさなけりゃ、煌ちゃんも涙見せずに遅れるだに。』



そのあとの声は、はっきりと聞こえなかった。


ただでさえ消えてもおかしくないくらい、廊下の端でひそひそと喋っていたから、しょうがないと思った。


けど、続きが気になっていた。


私は、まだ知識がないからかもしれないけど、婆ちゃんのお姉ちゃんが言っている意味が半分も分からない。


すぐ近くに行って、意味を聞ければ簡単なのに、その元気が私には、なかった。


< 173 / 316 >

この作品をシェア

pagetop