S.U.K.I


心兄が呼ぶ。


車の中ではずっと、そのこと半分淘のこと半分が頭の中で渦巻いていた。



「…ついたよ。」



心兄に車の扉を開けられて、はっとした。


開けた外の景色は、大粒の綿雪が舞い落ちる向こう側に雲の切れ間からクリームを混ぜたような淡い水色の空が見えていた。


まるで……死にたくなるような青だった。



「煌、淘………煙になっていったよ。」



我に返ってその声の方向に顔を向けると、泣き崩れるお母さんの肩を抱いた婆ちゃんが言って、煙突から上がっていく煙に目を向けた。


私は、つられるように空を見て、立ち上って青に消えていく煙に涙が溢れた。



< 174 / 316 >

この作品をシェア

pagetop