S.U.K.I
落ち着いてから、長方形の屋上の全体を見回すと向こうの端にぽつんとベンチが置いてある。
そこに、秀が座っている。
直感で秀だと分かったし、すぐに傍に行こうと判断したのも、直感だった。
正方形のコンクリートのタイルをきっちりと敷き詰めた屋上の床をブーツが叩く。
ゆったりとした歩調からしだいに早足、駆け足へとテンポを変えた。
「秀………!秀………!!」
振り向いた秀は、無表情を弱く、緩ませた気がした。
秀は、私に背を向けるように点滴を押し松葉杖を一生懸命動かしながら手すりの方側に走った。
何をしようとしているのか、直感で分かった。
「やめて!!秀―――!!!」
私は、足も腕も、振り切れるかと思うくらい一生懸命動かした。