S.U.K.I


秀の首もとを抱き込むように腕を回して止めた。


秀の体勢が後ろ側に崩れて、私が支えるように倒れた。


秀は、声にならない声を発しながら、ただひたすらコンクリートのタイルに黒い染みを作るように泣き続けた。


私は、何も言えないまま頭をしっかりと抱えていた。


それは、もう離さないといわんばかりだったと思う。



『死なせて。』



秀は、弱々しくそう言った。


今回は、私の掌に震える指を滑らせてゆっくりと丁寧に書いてくれた。



「ダメ。絶対にダメ。秀だけは、死なせない。」



涙がそっと、頬を伝い、流れてゆく。


秀の震える指に落ちた。



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