S.U.K.I


秀が握り締めた拳を床に叩きつけた。



『俺は無力だ。何もできなかった……お前を守ることも。』



ずるずると体勢を崩した秀を膝枕する格好になりながら、顔を覗き込みぱくぱくと動く口の動きを追った。


私の涙が秀の頬に落ちて、大粒の涙となって伝ってゆく。


閉じた瞳から、涙が一筋流れてゆく。


長い睫毛にくっついた涙の粒が、太陽の光を集めて小さく光った。



「秀は……無力なんかぢゃない。煌を…助けてくれたぢゃん……秀のおかげで煌元気なんだよ………?」



突然目を開いた秀は、悲しそうに私を見つめた。


柔らかな曲線を描いている目が、2・3回瞬きをして、その間に何度も涙の粒が零れていった。


私の涙も、秀の目から零れた涙と一緒になって落ちていった。



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