S.U.K.I
秀は、優しく私の頬に触れながらまた涙を流す。
『顔にこんな傷を作ったのに…?それでも……元気なのかよ。』
頬を撫でるように震える指が通ってゆく。
その指は、左目下の一際目立つ、ガーゼに触れた。
ぱくぱくと口を一生懸命動かして最後のほうは、悔しそうに目を細めながら言った。
『それでも…お前を守れたって、言えんのかよ。』
私の顔から手を滑り落とすようにコンクリートのタイルに拳を叩きつけた。
何度も、何度も。
私は、何もできなくて。
ただ、遠く感じる秀を見つめながらひたすら黙っていた。