S.U.K.I
強がり
「ぶぇっっくしょぃ!!」
私は、冷えきった体を擦り、鼻をずるずる啜りながらもう一発来そうなくしゃみを堪えていた。
秀は、堪え気味に笑っていたけど私の手を取って立つと、帰ろう、と扉を指差した。
私は、鼻を押さえながら控えめに頷いた。
扉の向こう側は、少し暖かくて、前を向き始めた私たちを包み込んでくれるようだった。
「……ごめんね?」
病室には、待ち構えていた看護婦さんと心配そうに眉を垂らした稔ちゃんに捕まり、看護婦さんにこれでもかとお説教をくらって、いろんな意味で疲れていた。
そんな中で私がぼそりとつぶやくと、秀が怪訝な顔をした。
『は?』
差し出した掌にそれだけ書いて、私を見つめた。