S.U.K.I
「言ってくれれば一人で行くのに。やだな、淘は。」
「はーい、ショック受けてるとこ悪いですが、そろそろ行きますよ。」
「へ?ちょっと!」
私ががっくりと肩を落としていても秀はお構いなしに私の腕を掴み、学校をあとにした。
目の前が霞む。
私よりでかい秀の背中が、やけに愛しくて。
秀なんて…好きぢゃないのに。
優が…好きだったはずなのに。
なんで私、今こんなになってんだろ?
わけ分かんない……。
「お前さ〜!」
「…何よぉ。」
和製の家具に囲まれた満腹屋の一角にある食事スペース。
そこで私は、潤ませた瞳から一滴足りとも涙を零さないように全神経を張り巡らしながら、コロッケを頬張っていた。