S.U.K.I
そう言っても秀は、わけ分からなそうに首をかしげ、少し不機嫌そうに私を見る。
「…せっかく、仲直りして、いい雰囲気だったのに。煌がくしゃみしたからなんかムードぶち壊しかと思って。だから、ごめんって。」
説明をするように今の気持ちなんかをストレートに伝えたら、秀は、への字口を緩めて笑った。
『バカぢゃん?』
つい今、稔ちゃんが買ってきてくれた真新しい筆談用ノートに男としては珍しく綺麗な字がさらさらと書き込まれた。
買ったばかりのペンだからか少し書き始めのところが擦れている。
私は、むっとしながらなんでよ、と切り返した。
秀は、私の言葉に少し考えながら長い睫毛を伏せて、真剣にペンを走らせた。
私は、その横顔や指先に気をとられてぼーっと頬杖をついたままだった。
こつこつ、と机を叩く音がして、はっと顔を上げると秀がへの字の口にして私を見つめていた。