S.U.K.I
ノートを指差しながら机に覆い被さっていた体を起こした。
私は、身を乗り出すように秀の指差すノートを見た。
『仲直りっつか、喧嘩してたわけでもねぇし。
謝る必要もなくね?
つか、これからずっと一緒なんだし、ちまちま考えすぎ。
だからバカっつってんの。』
私は、顔を真っ赤にしながら秀を見ると、秀は、耳まで赤くしてそっぽを向いていた。
もう一度、ノートに目を通すと、まだ下の方にさっきよりも小さく文字が書かれていた。
『声は出ねぇかもだけど、頑張れば野球は出来っから。
ケガとか直して、リハビリして、お前に全国見せてやるよ。』
私は、不覚にも涙が零れそうになって必死に堪えた。
秀も頑張ろうって、思ってくれてる。
きっと、私以上に。
こんな、悲しみや苦しみの連鎖から抜け出そうって、スイッチ切り替えて頑張ろうって、思ってくれてる。