S.U.K.I


「……煌ちゃんは、ようやった。十分じゃて。」



柔らかい空気に包まれて、私が、一番止まっていたことを知った。



反射的に飛び出した道路


光って近づいてくるヘッドライト


黒く冷たいアスファルト


息の詰まりそうな人込み


不安で歪んだ大河の顔


その横でくっついていた千歳の掌


心兄のがっくりと下がった肩


重なり合い赤黒くなった優と秀


優のどん底のように暗い霞んだ瞳



すべてが砂時計の砂のように交じって私の中を通り抜けてゆく。



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