S.U.K.I
「でも、いつ行っても入れなかった。ぢゃなくてー、入らなかった。だって、煌を助けてあげることが出来なそうだったから。」
そう言ってまっさらに広がる小さな窓枠の向こう側を眺めていた。
私もつられるように見た。
小雪と言われていた銀世界はもうすでにうっすらと雪がはげて早くも春の準備が始まっている。
窓からゆるく入った風は、そんな見える景色とは裏腹にひんやり冷たく、少し開けているだけなのに手先が冷たくなる。
「でも、違った。あたし、間違ってたよ。」
ゆっくりと、窓から目を離すと、還梨はこっちを見ていた。
柔らかい笑顔を浮かべている還梨の目の奥に涙がうっすらと溜まっていた。
「煌が嫌がっても傍にいるべきだった。だって……だって……」
ぽろぽろとさっきまでうるうると溜まっていた涙が零れていく。