S.U.K.I


お医者さんに見て貰って、退院できることになった。


久しぶりに見た町の景色は、私たちを置いていくかのように、いつもよりも目まぐるしく過ぎていく。



「ねぇ、煌。秀くんには……あれから会いに行った?」



控えめに覗き込む瞳を優しく見て首を横に振る。


還梨は、そっか、と言って向き直る。



「煌には言うな!って、言われてんだけど、リハビリ順調らしくて予定よりも早く終わるかも、だって。」



還梨は、道路の反対側を見ながら私に言う。


私のために無理させてるんだろうなって、少し感じた。



「…そっか。よかった……。」


「うん、今度こそ会いに行きなよね。」


「……うん。」



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