S.U.K.I
そのあっさりさを例えるなら、こってりと決まってるラーメンに似合わない塩味のような。
私が短距離という種目に、あまりに無関心でその能力も持ち合わせない、と言うのも原因だけど。
まぁ、そんな感じで塩ラーメンのように追い付かれた私は、秀にこれまたあっさりと、腕を捕まれていた。
「なんで、追い掛けてくんの?!この塩ラーメン男!煌は、一人で帰んの!」
「は?塩ラーメン?!まぢわけわかんないし。しかし残念だったな〜煌!俺の家お前ん家の目の前なの、忘れてたろ?」
私は、腕をぶんぶん振り回して秀の手から逃れると、一目散に家を目指す。
でも、やっぱり秀は、私を追ってきて。
腕を捕まれたと思ったら、私の体はするりと秀の腕の中に引き込まれた。
「まだ俺、お前のこと、許してねぇんだけど?忘れてんぢゃねー、バーカ。」
「やだ、離しッ…!」
私が抵抗すればするほど秀が押さえる力は強くなる。