S.U.K.I


「麗……!」



婆ちゃんの悲痛な叫びが聞こえて覚悟を決めた。


…しかし、手は振り下ろされなかった。


恐る恐る目を開けると、お母さんの振り上げられた手をしっかりと掴む、心兄が立っていた。


お母さんは、心兄を見据えたまま動かなかった。


悲しそうな顔をした心兄は、もう片方の手で勢い良くお母さんの頬を叩いた。



「心ちゃん……!」


「婆ちゃんは何も言わないで。」



悲しそうに困ったその複雑な表情は、見ているのが辛かった。



「母さん、煌は、なんも悪くないよ。」



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