S.U.K.I


あぁ、一番辛かったのは、心兄だったんだね、って。


あの優しさの後ろ側の奥の奥。


心兄、あなたは優しいから。


大河が飛び出したという、偶然の出来事の原因を自分だと思って、ずっと責め続けていたんでしょ?



「母さんは過去の悲しみにしがみついて、父さんと淘を重ねて。母さんがいつまでもそんなだから、みんなが元気づけようって。どれだけ心配してたか、分かる?」



お母さんはへなへなとしゃがみこむ。


心兄は、掴んでいた手を下ろし、お母さんの両手を包むように支えると、また喋りかける。



「煌は、辛かったんだよ。母さんのことも、俺らのことも、全部背負い込んで、一人で頑張ってきたんだよ。」



お母さんの両肩に手を乗せた心兄は、うなだれ泣きながら、訴えた。



「煌が悪いみたいに言わないでくれよ………一番悪いのは俺なんだから。」


「そんなこと、ないよ。」



心兄の話を聞いてて私は、ぽつんと言った。



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