S.U.K.I


心兄も、お母さんも、婆ちゃんもきっとずっと辛かった。


それをじっとじっと自分なりに我慢してたんだ。


ただ、それだけのこと……



「みんな何も悪くない…誰も悪くない……最初からそう決まってたことだから……しょうがなかったの…。」



私は、身を縮めて小さくなって、自分で自分を抱き締めながら涙を堪えて座り込んだ。


悲しくて辛くて苦しくて……誰も解決の方法なんか分からないけど、時間はたっぷりある。


思い出にしていくのは寂しいけど辛くなんかない。


だって、私たちの中でお父さんも優も淘も生き続けてる。


ねぇ…そうでしょ………?



………………秀。



また一筋、涙が流れていく。


背中で玄関の引き戸を開ける音を聞いた。



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