S.U.K.I



「煌姉、なんで秀兄に抱きついてんの……?」



突然の穹の声にびっくりして異常に反応した。


ぐしゃぐしゃの顔で、はっと後ろを振り向くと少し微笑ましそうに見る、お母さん、婆ちゃんと少し意外そうな心兄、驚きを隠せなそうに指を差しながら目を丸くする穹がいた。


私は、少し距離をとるように後ざすると、はっきりと秀の顔が見えて少し笑ってしまった。


お母さんも婆ちゃんも心兄も穹も全部が見えていた秀は、恥ずかしそうに照れて顔を真っ赤にしていた。


みんながいるの忘れてて、勢いで抱きついたことを少し反省しながら、秀を追い出すように押した。



「ちょっと出てくる……!」



お母さんが優しく頷いてくれた。


少し、嬉しくて、少し、ほっとした。


玄関の外に押し出して、引き戸を閉めて秀に向き直った途端、秀は、突然キスをした。



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