S.U.K.I
「はっ…はっ、待ってっ…てば……!」
秀の腰辺りにぶら下がり、パタパタとリズムをとっている鞄を恨めしそうに見つめた。
「おせーよ、煌!!」
坂の上で私に対して放たれた言葉を食い縛りながら、坂を上がってゆく。
「お前ほど、おせー亀もいねーよなぁ!」
野球部のくせにサラサラとなびいてるあの前髪もむかつく。
つか、何でうちの野球部、髪の毛短くしなくていーんだよ?!
若干殺意を覚えながら、坂の頂上目指してとにかく足を動かす。
やっぱ、無理かも…。
運動部、入ろっかな…?
その時だった。
秀の後ろから、女の人らしき人が近づいてる。
「秀っ…後ろ!」
「は?」
その声とほぼ同時くらいに秀の頭の頂上に拳が落っこちた。