S.U.K.I
「やーねぇ麗ちゃんたら。ありがとね〜?秀も、きっと照れてるだけだから気にしないであげて。」
「ううん、煌、届けただけだし。秀のも、気にしてないよ。」
嬉しそうな幸さんと少し立ち話をして、すぐ梅澤家を出た。
玄関の戸を閉めて雪を踏みしめた。
2階の秀を思い浮べながら、上を見上げた。
閉まったカーテンがかかった窓を見て、マフラーを引っ張り上げた。
ふと、握らされた紙を思い出してくしゃくしゃの紙を広げてみた。
小さな字でくちゃくちゃっと書かれた字は妙に愛しく感じた。
『明日海行き
出発時刻変更
詳しくはメールする』
不思議な言葉に頭を傾げて、もう1回読み返す。
読み返して、首を捻って、ぐしゃぐしゃで渡されたときよりも綺麗に綺麗に折り畳み直した。
もう1回、2階にいると思われる秀を見上げて、家に帰ることにした。