S.U.K.I
あっという間に時間が過ぎていった。
時間潰しに食器洗いをする。
かちゃかちゃと食器の擦れる音の中で泡の中にいると静かな気持ちになった。
静かな空間の中でいつ切れるのか分からない古い裸の蛍光電気の光だけの中で、汚れた皿や茶碗を真っ白の泡で落として、重ねる。
それをひたすら無心で、繰り返した。
気付いたときには、もうみんな綺麗になっていた。
水で流れていく泡は、なんだか、切なくて儚い気がした。
すべて終わったときは、不思議な気持ちだった。
「お疲れさん。」
突然の声で振り返ると暖かなマグカップを差し出す心兄が立っていた。